犬・猫の生体を管理しなければいけない現実
なぜ犬や猫を捕獲しなければいけないのか?
そもそも、なぜ保健所やその他行政施設で犬や猫を殺処分されなくてはいけないのか疑問ですよね。答えはとてもシンプルです。
日本には愛護法第三五条による犬や猫の引き取り義務があるからです。犬や猫を所有している人から引き取りを求められたとき、各都道府県の行政施設で引き取らなければいけないというものです。
可愛らしい犬や猫ですが、実は「外来種」です。犬の発情期は1年に2回ほどで平均出産数は6~10匹ほど。猫の発情期は1年に2~3回ほどで平均出産数は3~5匹ほど。
犬も猫も多胎児動物なので、1回に産む赤ちゃんは多いです。しかも発情期が年に数回あることから、かなりの繁殖率があることがわかりますね。
”狂犬病”という病気をご存知でしょうか?動物から人に感染する恐ろしい病気で、アジアでは犬や猫を介して感染すると言われています。動物も人も感染し発症してしまえば100%死亡するという恐ろしい病気です。
日本ではいまでは発症例はなく、狂犬病の心配はありませんが、それでも犬には年1回ワクチンを接種する義務があります。
野良猫や野良犬が増え続けると、飼い主がいないのでこの狂犬病にかかっている犬や猫が出てくるかもしれません。唾液を通して感染するので、気軽に散歩や出歩くことが困難になりますよね。
そういった意味もこめて、外来種であることから犬や猫は捕獲対象になったのかもしれません。
もともと人為的に日本に持ち込まれたペットで需要が高いのと同時に安易に捨てる人が後を絶たないというのもあると思いますが…
可愛らしい犬や猫ですが、放っておけばたくさんの問題が出てくるのです。
犬や猫を全く捕獲しないとどうなる?
ではでは、可愛らしい犬や猫ですが、殺処分に反対の人がきっとほとんどですよね。「かわいいのになぜ殺処分を?」「欲しい人に譲渡すればいいじゃない!」「人為的に命を奪うなんてありえない!」などなど…
私も殺処分については反対です。しかしですね、この殺処分をしない、捕獲もしないとなるとどうなるのか…少し見てみましょうか。
- 田畑を荒らす(糞尿など)
- 病気の管理がしにくくなる
- 人の居住スペースに勝手に住み着く
- 糞尿の悪臭問題
- 発情期の騒音問題
- 車との接触が多発する
- 子供へのかみつきなど
- 安易に捨てる人が続出
パッと思いつく限りではこんな感じでしょうか?これらが一気に問題になったとしましょうよ。想像してみてください。
自宅の庭が荒らされ、車庫やちょっとした空間に犬や猫が住み着き、年に数回発情期になると大声で鳴かれ、糞尿の悪臭にしつけのされていない犬のかみつきや猫のひっかきによる子供の怪我が続出。
外で生きていけるでしょうと安易な考えの飼い主による捨て犬猫が増え、車と接触し命が奪われる犬猫たち。そしてまた子犬や子猫が増える…
犬や猫そして人、どちらも得しないですよね。犬や猫だって子供を産めば母となり子供が大事なのは人間と変わらないです。
犬や猫を全く捕獲しなければ、私たちの健康や住まいが脅かされることになりますし、食料問題や事故などで死んでしまう子犬や子猫が増えます。
そういったことを防ぐためにもやむを得ず犬や猫を捕獲しなければいけないのかもしれませんね。
ちなみに殺処分する際、ガス室で窒息死させるわけですが、”相当な苦痛”を味わいます。窒息させるので当たり前ですね。その作業をしなければならない職員だって精神的にかなりきついです。
「動物愛護センター」という言葉をよく聞きますが、動物を一生涯保護してくれるかというとそうではないのでお間違いのないように認識ていただきたい!
「保健所」と「動物愛護センター」では名前は違いますが、どちらも国によって管理されているため、動物を引き取り譲渡しきれなかった動物に対しては殺処分という形をとるのは変わらないです。
「自分の住んでいる地区の野良猫が気になる。保健所は殺処分というイメージが強いから”動物愛護センター”に連絡してみよう!」これ、結局譲渡しきれない動物は殺処分されてしまうので同じことです。
地域で飼い主不明の犬や猫が見つかった場合、飼い主がいないかチェックしたのち、いなければまずは施設に引き取ってもらうのでなく、”一生涯きちんと飼育できる家庭がないか”探してください!
保健所などの施設に引き取ってもらうのはあくまで「最終手段」にしましょう。年間の殺処分数を見たらそんなに現実は甘くないという事がわかります。
犬や猫の年間殺処分数は?
「施設に引き取ってもらうから誰かいい人にもらわれていってね」なんて現実はそう甘くありません。環境省の統計資料によると、平成29年度の犬猫引き取り数100,648匹に対し、43,216匹は殺処分されています。
全体の約4割くらいは施設で誰にも引き取られずにガス室で恐怖に怯えながら死んでいくのです。10匹の犬猫を施設に引き渡したら、そのうちの4~5匹は死ぬという事です。現実はそう甘くないでしょう?
それでも、平成16年引き取り数約42万、殺処分数約39万に対し、平成29年度引き取り数約10万、殺処分数約4万なので全体的に管理された個体数がかなり減りました。
毎年様々な団体が活動して呼び掛けていることと、飼い主一人一人の意識が変わったことが殺処分を減らせたのではないかと思います。
でもやっぱり、平成29年度だけで約4万匹のいのちが失われていると考えると胸が痛いですね。私の家の猫ちゃんたちはもともと家に迷い込んできた野良猫か、知人から譲渡してもらった子たちです。
ペットショップで売られている血統書つきの子たちも個性があってもちろん可愛いんです。けど、そういう子たちはまだ飼い主を見つけられる可能性があるので、私は身近にいる飼い主がいない子たちを飼えるならば譲り受けます。
今の子たちはそういった感じで引き取られて6代目になりますね。結局どれも飼ってしまえばめちゃくちゃ可愛いんですよ!だから私は野良猫でもペットショップで売られている動物たちもあまり変わらないんじゃないかなと思います。
しいて違いを言うならば、ペットショップで売られている動物たちは、ある程度の病気や性格の傾向がわかるので、対策がしやすいという点でしょうか。(あくまで傾向です)
野良の犬や猫のほとんどが雑種なので、かかる病気(遺伝性のものなど)や性格はバラバラです。私が飼っていた猫ちゃんたちもみんな性格はバラバラですし、短命だった子もいればかなり長寿の子もいました。
個性があるのは人間も同じですし、みんな同じ命なので、ペットを飼えるならば保健所や動物愛護センターの子たちもぜひ視野に入れていただきたいです。
年間処分数を0にすることはまだ難しいかもしれません。私だって偉そうなことを言っておきながら、自宅で飼っている猫たちの世話と子育てで手がいっぱいです。
でも、こういった記事で呼びかけることも大切かなと思います。現状を知ってもらって、施設からの引き取り数を増やしたいです。
余談ですが、ギリシャでは保護した犬に対し不妊や去勢手術、マイクロチップを埋め込むなどの対策をし、病気の子は治療を、攻撃的な子には訓練をします。
その後譲渡会を開き里親を探します。もしも見つからなかった子はもともといた場所に戻されますが、地域犬として地域住民や保護団体、市などからお世話されるそうです。
なるべく殺処分を減らそうとする働きかけですね。日本でも地域猫として同じように不妊・去勢手術をする活動が広まっていますよね。
まだまだ日本中の猫を管理するのは難しいですが、猫の方が収容数も殺処分数も多いのが現状です。
犬や猫は狩猟目的で飼われていた時代もありますが、現代ではペットとして可愛がられるのが一般的です。人間がペットとして飼いやすくして繁殖してしまった以上、殺処分がなくなるようきちんと責任感をもって飼って欲しいというのが私の願いです。
犬や猫だけじゃない他の動物も捕獲対象
実はですね、施設に収容されるのは犬や猫だけじゃないんです。外来種と呼ばれる動物たちは、日本の生態系を崩してしまう恐れがあるため、捕獲対象になっているものもいます。
外来種は人為的に持ち込まれた生物のことで、例えば輸入時などに非意図的に日本に持ち込まれてしまった生物や、観賞・飼育目的で持ち込まれた生物のことを言います。
そのなかでも特定外来生物と呼ばれる生き物は、防除対象になります。
アライグマやタイワンリス、カミツキガメなどはかつてペットとして飼われていましたが、いまは輸入・飼育が規制されていますね。
以前ペットとして飼われていて何らかの理由で野生化してしまうと時に防除対象になってしまいます。フェレットも愛くるしい容姿で人気がありペットとして飼われていますよね。
ですがフェレットも外来種なので、もしこのまま家から逃げてしまったり、飼えなくなって山や野に放してしまうと、野生化してしまうかもしれません。
フェレットはイタチ科の肉食性の動物なので日本の在来種を脅かす危険性は十分考えられます。今現在、「定着予防外来種」として認定されていますし、ペットとして飼うには十分注意していただきたい生き物です。
『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』という番組がありますよね、その番組中にも、アリゲーターガー・ワニガメ・カミツキガメなどの外来種が発見されました。
アリゲーターガーは北アメリカ大陸最大の大型の肉食魚で、魚や甲殻類を食べ、大きいもので2mを超えるとか…
2018年には特定外来種に認定されていますし、北アメリカの生き物が日本の池にいるとなると、観賞用に飼われていたのちに池に放たれた可能性が非常に高いですね。
ワニガメ・カミツキガメも鳥類や爬虫類などなんでも食べてしまいます。どちらも噛む力が強くカミツキガメにおいては動きがすごく速いみたいで子供と遭遇するとかなり危険ですよね。
このワニガメ・カミツキガメももともとはペットとして流通していたため、なんらかの理由で池に放たれた可能性が高いです。
このように、ペットとして飼われていたのち、野生化してしまい住み着き繁殖してしまうと、日本の生態系に害を及ぼすとして期間を設けるなどの制限はありますが、捕獲対象になってしまいます。
動物にはなんの罪もなく、ただ生きるために生活しているだけです。そこに人間のペットとして飼う・手放すといった身勝手な行動により、捕獲されてしまうのです。
犬や猫だけではなくペットとして生き物を飼う以上、どんな理由であれ野生に野放しにするのはいけません。きちんと最後まで飼う覚悟を持ちましょう。
犬や猫の殺処分を減らすためには?
個人の意識改革&正しい知識を身に着ける
先ほども言いましたが、平成16年にくらべかなり犬や猫の殺処分は減ってきています。それでも平成29年では約4万匹も処分されていますが年々減ってきていることは良いことです。
その背景には団体の取り組みやネット社会での情報の掲示、飼い主の意識改革など様々なことが積み重なってきたからです。
それでも犬や猫の殺処分が0にならないのが現状です。もっともっと個人の意識改革や犬や猫の正しい飼い方、野良犬猫との接し方に気をつけねばなりません。
- まず死ぬまで飼えるか検討する
- 飼う種類ごとの寿命を知る
- 病気になった時のケアを考える
- 万が一飼えなくなった場合の預け先を見つけておく
- 個々の性格を把握しておく
- 野良犬猫にエサを与えない
- きちんとしつける
などなど。まずは飼おうとしている子の寿命や病気になった時のケア方法まで頭に入れて、その子を一生面倒みれるかどうかを考えましょう。
単純にかわいいからという理由のみで飼ってしまうと、なかなか懐かない、噛み癖がある、飼い主との相性が悪いといった理由で手放してしまう事があるからです。
個々の性格をきちんと知り、しつけを根気よくできるかも重要なポイントですね。また、もしペットを飼う場合、万が一の状況にそなえて手放さなければいけなくなった時、保健所ではなくて他の家庭で受け入れてくれるところがないかも探しておきましょう。
また、正しい知識として大切なのが、野良犬や猫に安易にエサを与えないという事です。エサを与えてしまうと、繁殖能力が上がり子犬や子猫が増える原因にもなります。
「近所の猫にエサを与えていたら繁殖して数が増え、近隣住民の苦情によりやむなくすべて保健所に連れていかれてしまった…」なんてことが起きてもおかしくないです!
エサをあげるくらいならその子を引き取って飼うという選択肢を考えて下さい。それが出来なければ、お腹を空かせてかわいそうだからという理由でエサを与えないようにしましょう。
『認定NPO法人日本レスキュー協会』ではライフパートナー(里親募集)も呼びかけています。犬や猫を飼いたいけどどこに連絡すればいいのか分からない。という方はこういう場所をチェックしましょう。
また、「飼えないけど手助けしたい」「もうすでにペットがいるけど何か力になりたい!」という方にはこちらの活動支援も見てみましょう。募金、ふるさと納税、寄付、ボランティア活動など、様々な種類の活動支援があります。
ネットを見ていると様々なサイトがヒットします。犬や猫を飼える状況だけど何となく飼う機会を逃してきたという方は、これを機会にぜひチェックしてみましょう。
また、日本レスキュー協会では様々な活動支援があるようなので、少しの支援でも良いのでぜひ検討してみてください。
『ペットのおうち』というサイトでも全国の行き場のない動物の里親を募集しています。月間150万人が利用する国内最大のペットのコミュニティーです!
保健所に収容されている動物たちを引き取って里親を募集したりしています。犬猫の他に小動物・爬虫類・鳥類・魚など幅広い動物たちが待っています。
とても可愛らしいサイトで1匹1匹のプロフィールが設定されていてとても分かりやすいです!また、犬や猫以外の動物も里親募集中です。
ペットプロフという項目には、災害や予期せぬ逃走などでペットがいなくなってしまったときのためにと、ペットライフを共有するスペースがありますね。
ペットIDタグも無料で配布されているようです。ペットプロフでは、ペットの持病・薬の有無・性格・ペットフードの種類などを登録することができます。
もし災害で離れ離れになって飼い主と連絡がとれないとき、こういった情報を登録しておくと安心ですね。
犬猫の避妊・去勢をする
犬や猫の避妊・去勢手術をするのは残酷だという方もいるかもしれません。しかし、飼っているペットの子供を望まない場合、きちんと手術したほうが犬や猫の負担を軽減させることに繋がります。
- むやみに子を産まない
- 発情期の欲求不満のストレスがない
- 出産時の死亡リスクがない
- 育児での体力消耗を防ぐ
- 発情期特有の行動がない
- 交尾時の病気のリスクがない
- 寿命が延びる
- オス特有の病気がなくなる
- マーキングがない
- メスを求めて放浪しない
- メスをめぐる喧嘩がなくなる
- 喧嘩や交尾での病気のリスク軽減
- 寿命が延びる
動物の場合でも出産は命がけです。発情期・妊娠・出産・育児がなくなるので、メスの場合穏やかに日常を過ごすことができます。また、病気やストレスが減るので結果的に長く生きる傾向にあります。
さらに、オスの場合でもメスを求めて起きる衝突や交尾時の病気のリスクが減るため、寿命が延びる傾向にあります。
避妊去勢のデメリットとしては、ホルモンの関係により肥満になってしまう事がありますが、きちんと食事管理を運動を心掛ければなんの問題もないと思います。
各家庭で犬猫の飼育数を制限するべき
テレビを見ていると多頭飼育崩壊という言葉をよく聞きますね。これは理由は様々ですが、増えすぎてしまった犬や猫の避妊・去勢手術が追い付かず、どんどん増えていってしまい、飼いきれなくなってしまうことです。
避妊去勢手術は決して安くはなく、メスの方が手術費用は高いです。可愛いからといって増やしすぎてしまうと管理できずに、飼育崩壊の原因になります。
自分の家庭で飼育できる数を決めて、それ以上増えないように「拾わない」「もらわない」「産ませない」というのを守りましょう。
犬や猫は室内で飼うこと
保健所で収容される犬や猫の中には、首輪をした迷子の犬や猫もいます。外で首輪に繋がれていたけどいつの間にか鎖が外れて行方不明に…、外に行き来できるようにしていたらある日戻ってこなかった…。
というのをよく耳にしますね。誰も望んでいないのに知らずに保健所に収容されてしまい気づいたころには取り返しのつかないことに…!なんてことが起きたら悲しすぎますよね。
できることなら犬や猫は室内で飼うことをおすすめします。そうすれば突然いなくなることはなくなりますし、脱走したときの交通事故も防ぐことができます。
また、室内で飼っていると衛生的になるので病気のリスクも軽減させることができますよ!
まとめ
今回は、犬や猫の殺処分についてご紹介しました。殺処分は毎年問題になっていますし、小池都知事も殺処分0宣言をしたことで有名ですよね。
今では国レベルで問題視されている課題なので、各都道府県や保護団体も力を入れています。むやみに野良犬猫にエサはやらず、保健所に連絡する前に一生涯飼うことのできる家庭を見つけてあげてください。
そして、子供を産ませる気がないのなら避妊・去勢手術をしてあげるようにしてください。どんな理由があってもいきなり野生に手放すなどの行為はしないようにしましょう。
飼っている犬猫にとって急に野生に置かれてもエサのとり方も知りませんし、精神的にもかなりの負担になります。ペットとして飼うのなら「家族の一員」として迎えてあげてください。
どれも大切な命に変わりはないので正しい知識のもと、保健所で殺処分される子たちがなくなるよう、みなさんで協力しましょう!